9.社 宅
 メキシコを案内して下さった駐在員さんのご自宅を訪問した時の話です。 駐在員さんは、日本の大手自動車メーカーの商社部門の現地採用の方です。
 若い時、放浪の旅をしていてメキシコ人の奥様と知り合い、メキシコでしばらく一緒に暮らした後日本に帰国、奥様が日本まで追いかけてきて結婚されたそうです。 ふたりで東京に住んで、上のお嬢さんを身ごもった時、奥様がメキシコで暮らしたい、ということでメキシコに戻り、現在の職に就かれたそうです。忘れていたことですが書き出したら思い出しました。

 メキシコにも、その日本のメーカーの車を生産する工場があります。 メキシコ人はあまり働くことが好きではなく、残業も皆無とのことでした。 駐在員さんのお宅は、メキシコに赴任された日本人家族向けの社宅(アパートスタイル)のある敷地の中に、離れて建てられた二階造りの一戸建てでした。
 当時、高校生の女の子と中学生の男の子がいらして、裕福な子女の通う私立の学校へ通っていました。 若い女の子のスペイン語はとっても耳にここちよく、とても愛らしいです。ひゃらひゃら、という表現がぴったりなんですよ。
 
 それから19歳という通いのお手伝いさんを雇っていました。家事を手伝ったことのない日本のティーンエージャーの女の子を雇うのと同じようで、拙いお掃除(電気掃除機)とお洗濯(電気洗濯機)で1日の仕事が終わってしまうようでした。これは若くないけれど、私も同類。洗濯物を干したのは奥様のようでした。メキシコはすぐに洗濯物が乾くでしょうね。
 物価や人件費が安いですので、自宅でお料理はめったに作らない、食事はしない、という羨ましい生活をなさっておいででした。 奥様はやり手で、社宅の日本人家族に、日本食を輸入して販売していまして、貯蓄をして土地を購入している、との事でした。 市場です。

 メキシコでは裕福な生活ですが、メキシコの通貨では航空運賃が高くて、日本へはなかなか帰れないと、駐在員さんが話しておられました。 私と友人は、週に1度の日本食販売の日に、やり手の奥様を手伝い、社宅にお住まいの日本人の奥様方にお醤油などの調味料や、乾麺、冷凍マグロ(他にもいろいろありましたが、後は忘れました)などを販売しました。
 航空運賃込みですので、日本の価格よりかなり高いようで、メキシコの物価の安さに慣れている日本人の奥様たちは、迷われてお買いにならない、ということが多々ありました。

 社宅は、頑丈な鉄の塀で取り囲まれ、門は閉ざされ、車が通る時だけ、ライフルを持った守衛さんが門を開けてくれます。 治安が良くないので仕方がないことですが、監獄をイメージしてしまいました。敷地内は明るくて、もちろん安全で、子ども達がのびのびと遊んでいましたけれど。 社宅の話で、メキシコの住宅を思い出しました。メキシコの気候は、焼け付くような日差しですが、カラリとした湿度の低い気候ですから、日本の夏のような暑さは感じません。

 
窓にガラスがない住宅です。
 住宅は、外の明るい世界から足を踏み入れた瞬間は、薄暗く、ひんやりとした感じです。窓が無いほうが、室内は涼しいためと思います。すぐに目が慣れて、薄暗く涼しい世界もなかなかいい感じでした。住宅と言っても、通りすがりにひやかしで入ったり、外から覗いたりした、個人経営の何件かのお店です。 駐在員さんのお宅は、よくある日本の一戸建てと全く同じで、こちらは窓が多くレースのカーテン越しの日差しで明るい室内でした。もちろんエアコンがガンガン利いていました。メキシコでまで、日本と同じように作られた社宅より、メキシコ風の住宅に住んでみたい、と思ったのは、私が旅行者だからかもしれません。

RES-----
雪うさぎさんの文章を読んでいると旅行へ行きたくなりますね〜。 留学していたとか、出張で海外へという人の話を聞きながらやはり自分の目で見てみないと わからない事がたくさんあるなぁと思って聞いていた事があります。 観光はもちろんなのですが普通の暮らしはどうなのかなぁと思いますね。たくさんの民族がいますから。続く

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