(サラ劇 6 ハナスイ?) H11・6/5

サラ−5へ
 「課長ちょっと遅くなりましたけどつつじ祭りの飲み会やりましょう。」
「いいけど公園はよそうな。まだ寒いから」
「百足屋(むかでや)はどうです?」
「あ〜ダメダメ!あそこは。どうして百足屋って名前なのか知ってるか?」
「いえ」と高木は答えた。

 田畑は回転椅子を高木の方に向け肘掛けに体を預けた。
「この前接待マージャンの後、出島専務と百足屋に寄ったんだよ。そしたら専務が酔っぱらって百足屋のドジョウオヤジに(どじょうひげがあるためこう呼ばれる)何で飲み屋なのに百足なんて気味悪い名前つけてんだと聞いたら、あのオヤジ、最初は満足屋にしようと思ったんですけど、低料金で満足させるのは大変ですから、
で、つぎに千足屋にしようと思ったんですけど、靴屋に同じ名前があるのが分かり結局百足屋にしましたと言ったんだよ。だからほんとはあそこは百足屋(ひゃくそくや)なんだってさ。で、その後の専務の言葉がまたよかった。」

 「なんて言ったんです。」高木はニヤニヤしながら田畑のつぎの話を待っている。

 「俺がむかし通ってたシャネルというスナックも抗議がきて今じゃチャネルと名前を変えたとか言ってんだよ。そしたらあのドジョウオヤジそうでしょ、そうでしょとか言ってなぜかその手の同名の話で専務と盛り上がり、仕事そっちのけでカパカパ飲み始めやがって領収書が偉い高くついた。」

 どうせ会社の金だろと高木は思ったが、それは言うわけにはいかない。

 「じゃ、焼き鳥の鳥少どうです?」
「久しぶりだな。少尉殿は元気か。?」
「たまに出てきますけど、ほとんど息子がやってますね。奥さんと」

 鳥少という店は太平洋戦争の頃ビルマ(今のミャンマー)で戦っていたと言う鳥井少尉の経営する店である。復員後相当苦労したらしいが、自分の鳥井と言う名前と少尉という位を足し「鳥少」とした。南方での女の話とかは面白いのだが、以前「ビルマの竪琴」の話を冗談でしたら
「永島(ながしま)上等兵は第何師団でとか言い始めたのでほんとに少尉だったのかは怪しいと田畑は思っているが人のいい爺さんだ。

・・・・・・・・・

 鳥少は結構混んでいた。ビーチサラダというのがありこれが「君たちキウイパパイヤマンゴだね」
ではないが、南のフルーツを日替わりで出すので女性にも受けている。今日はグァパというものが入っているらしい。

 しかし鳥少が受けるのはやはり焼き鳥である。看板の字だけ見ると鳥肉少々という感じだが実は焼き鳥が大きいのである。鳥少ではなく別名鳥大とも呼ばれている。。
 ビーチサラダが目当てで今日はOLの海ちゃんも一緒だった。久々に3課全員がそろった。と言っても4人しかいないのだが。

 「海ちゃん!ハナドって知ってる」江川が聞いた。
「ええ、花の土曜日でしょ。」海ちゃんは25歳・昔だったらお肌の曲がり角である。
「じゃ、ハナキンは」高木が聞く。
「花の金曜日でしょうが、」海ちゃんは焼き鳥の軟骨を手に持ちながら答える。

 「じゃハナモクは」さらに高木が聞く。

 「聞いたことある。でも金曜日は休みじゃないよね。」と言いゲッシ類のようにコリコリ音をたてもう聞くなと言う感じで軟骨をかじった。

 「金曜日に目一杯遊んで飲んで二日酔いになっちゃうとせっかくの土日の連休なのに土曜日昼まで寝てたりして休みがもったいないだろ。だから木曜日に目一杯遊んで金曜日は適当に会社で時間をつぶす。そして土日は自分の時間で過ごす。これがハナモクのいわれだよ。つまり自分の時間を有意義に過ごすためにハナモクなんだよ」海ちゃんに気がある江川が言った。

 「さすが社会人〜!」海ちゃんは妙なほめかたをし今度はタンを手に取った。

 適当に会社で時間をつぶす社員の上司の田畑が口を開いた。
「ハナモクまでは知ってるけど、ハナスイは知らないだろ」

 「えっ!」3人とも田畑を見る。
「そんなのあるんですか?」高木が言う。
「海ちゃんティッシュ持ってる?」田畑が言う。
「はい。」海ちゃんはサラ金の会社のポケットティッシュをスカートのポケットから取り出した。

 「わりーちょっとハナミズがでてきたから」と田畑が言うと
「ハハハ」と引きつった笑い声がこだまし3人は顔を見合わせもくもくと焼き鳥をかじりはじめた。

田畑はこの後昔行ったことのある花月園の話をしようと思っていたのだが今日はやめた。    サラ−7へ
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