友 情 H11・3/14
| 黒塗りのカウンターで飲んでいると、いきなり肩を揉む奴がいる。 「元気か。」メフィストだった。 「マルガリータか。懐かしいなぁ。沖縄のビーチホテル以来だから4、5年前か、あのときは驚いたね。氷いちごと一緒に頼む方も変わってるけど、入れものがポリカップだからな。プールサイドだった。」 相変わらず彼はぺらぺらしゃべる。 「今日は何?」 「♪ゴールドフィンガー・・007のテーマじゃなくて永遠のテーマだ。」 「人生か?、ギャンブルか?、金か?それとも女か?」 「まあ待てよ」となりに座るとメフィストはバーテンにビールを頼んだ。 バーテンが「ハイネケン、キリン、アサヒとありますが」と言うとメフィストはバーテンの蝶ネクタイを見つめながら「アサヒ」と答えた。 「ビールの銘柄も聞くとは親切な事だ。そのうちレストランでライスの銘柄はって聞くようになるぜ。?まずけりゃ文句を言うけどたかがビールなのに!」 「・・いいから何の話だ。」 「男と女だよ♪らーらーらサバダバダ・サバダバダ見ただろあの映画」 「見た記憶はあるが覚えていない」 「まあいい。男と女に真の友情が成立するかと言うことだ。」 むずかしい問である。メフィストは恐らく結論をどちらかに導こうとしている。 男は映画の「男と女」の内容を思いだそうとするが思い出せない。 友情・・これもむずかしい。太宰治の走れメロスも読んだことがない。第一あれのテーマは友情だったか? 中学生の頃だった。女の教師があるとき親友がいる人は手を挙げてと言った。 1人手をあげた生徒がいた。 それを見て男は質問する教師よりも、親友と言う言葉に手をあげた生徒に驚いた。遠足に行くときにいつもバスの席でとなりに座るのが親友なのだろうか。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「いつでも自由に連絡を取れる女がいるか。?」メフィストが聞く 「いる! 妻!」というのはナシだぜ。メフィストは念を押す。 男は電話番号を思い浮かべる。10件くらい記入した紙片を持っているが、必要なのは3件だけだ。 男が1人 女が1人 それに妻の勤め先 「二人きりで喫茶店や飲み屋で仕事以外で5時間も話せるか?何も話さなくても映画館とホテル以外で2時間一緒に居れるか。」メフィストは寄せが速い。 「・・・たぶんいる。」男は笑いながら指先についたグラスの塩をなめメフィストに頼んだ。 「俺を昔に連れて行ってくれないかプラトニックの時代にな。」 「恋愛は進化した友情と言うことか・・・・」メフィストはあっさりと両手で髪を掻き上げ消えた。 メフィストが消えた後で、男は自分で勝手に思ってる女友達に電話をかけた。「久しぶり元気だった。あのさぁ〜」 10年話をしていなくても「うん!」・・友情なのかもしれない。 M−4へ |